「『帝国主義と侵略戦争』国際会議」に参加

2025年6月18-19日にフィリピン・マニラのフィリピン大学で、「帝国主義戦争とたたかう民衆の連帯と抵抗をうち鍛えよう」を主題とする「『帝国主義と侵略戦争』国際会議」が開かれたので参加した。主催は、自己決定と解放のための先住民運動、アジア太平洋研究ネットワーク、食料主権民衆連合、生命平和のための民衆フォーラム。

前日の17日に羽田を出発してマニラのニノイ・アキノ空港に到着。前回まではタクシーに乗ってマニラ市内、もしくは、高架鉄道の駅で最も近いEDSA / TAFT AVEまで移動していた。しかし、高架鉄道の3路線のうちLRT-1が空港方面へ延長され、新駅がいくつかできたので、最短のNinoy Aquino Avenue駅を利用することにした。迷うといけないので1日千円の海外4Gを払い、第一ターミナルを出て駐車場を抜け、スマホの地図を見ながら歩くと30分ほどで駅を発見できた。よっしゃあ。これで前回のようにタクシーでぼられる心配が解消した。

宿泊先近くの駅で降りて数十分歩いてホテルに着く。食事をしに近くを散歩すると韓国食材の店があった。韓流すごい。別の食堂で夕食を済ませた後に再び寄って眞露とかっぱえびせんを購入。韓国人表象のレジ・スタッフに韓国語で挨拶して計算を求めたらぎょっとしていた。

翌18日の朝、他の海外ゲストとともに会場のフィリピン大学まで車で移動。収容人数推定百人の教室は二日間とも終始満席で、立ち見の人も多数いた。海外からはオーストラリア・バングラディシュ・香港・インド・インドネシア・日本・ヨルダン・韓国・マニプール・オランダ・ニュージーランド・台湾・米国・ベネズエラの14国・地域、それにフィリピンを合わせて61団体、211人が参加した。

ローランド・デロス・レイエス2世・研究労働者労働組合フィリピン大学ディリマン校分会長の歓迎のあいさつで会議は開幕した。

マカバヤン連合現代表で前国際民衆闘争同盟事務局長のリサ・マサが基調を報告。まず、イスラエルの虐殺戦争で殺された数万人のパレスチナ人へ参加者全員で黙祷。基調は、混迷する現代世界情勢の要旨を述べ、世界各地での様々な火種のうちに明示されている帝国主義諸国間の争闘の激化を指摘した。中国・ロシアなど他の中軸的な大国の存在にもかかわらず、米国は最も軍事的・侵略的・収奪的な帝国主義国として歴史的に残っていると強調した。そして、組織された抵抗と広範な民衆の団結を通して、帝国主義戦争の進展をいかに阻むのかが課題だと締めくくった。

次に、「米国主導の戦争に反対する抵抗運動」(レジスト)のコディ・アーバンが国際情勢を発表した。すなわち、広範囲に及ぶ戦争、急増する軍事化、より大きな対立への準備が世界をいかに苦しめているか。帝国主義間の対立が激しくなるただなかで、いまもなお世界平和に対する最大の脅威である米国は、経済力が低下し、中国が台頭する中で、己の巨大な軍事力に大きく依拠している。莫大な軍事予算と同盟国および従属国の世界的連携にもかかわらず、アメリカ帝国は急速に孤立し弱っている。このことは、米国主導の戦争に抵抗して恒久平和のために闘うための国際統一戦線を建設する上で不可欠の機会を表している。帝国主義の主な四つの矛盾を理解することが鍵だ。米国はアジア太平洋地域に軍事的焦点を絞り、列島線戦略をもって中国に対抗している。同戦略は、アジア太平洋地域をまたぐ主な三つの線に米国の軍事的存在を確立するものだ。拡大する軍の態勢は、交戦の勃発する当該地域に兵員を配置し、米国の世界軍事戦略における太平洋の基軸的枠割に光を当てているが、インド洋におけるいまだ潜在的な「第四」「第五」の列島線への拡大まで論議している。立ちはだかる軍事大国化・従属体制・帝国主義支配に対して民衆は地域を越えて抵抗に起ち上がっている。アメリカ帝国主義が急速に拡張するようになるにつれ、労働者・被抑圧民族・独立諸国が平和と自己決定権のための国際闘争へ合流している。こうした抵抗運動の波が高まっていることの反映として、フィリピン・インド・西パプア・ビルマのような場所での大衆決起と武装解放運動はある。インド大陸・東南アジア・北東アジア・太平洋にまたがるこうした闘いを結びつけ、米国の支配を解体するとともに平和・解放・国際連帯にもとづく未来を建設する決定的な時が今だ――。

 

続いて各国・地域報告だ。帝国主義と戦争に関する第一会合では、新民族主義者同盟(バヤン、フィリピン)のレイモンド・パラティーノ、米軍基地返還研究所(韓国)、全国反帝解放連帯(オーストラリア)、アジア共同行動(AWC)日本連絡会議が報告し、米国が拡大する軍事力を主題に討論した。これらの諸国での米国の軍事力が中国と朝鮮民主主義人民共和国に対する戦略の一部として強化されている。それは資本主義がファシズムの性格を帯びながら拡大していることも示しており、国際秩序を揺さぶり、地政学的な緊張を悪化させている。

 第二会合の主題は経済的収奪と軍事化。「気候正義のための民衆決起」が、地下資源と利益への〔資本の〕群がりがどのようにして土地強奪・強制退去・環境破壊に結びついているのかを説明し、明らかにした。軍隊が地域社会で影響力を増して政府の支援する開発侵略を促し、民衆の抵抗を抑圧しているが、その一例として「パナイ防衛ネットワーク」が先住民族トゥマンドク(Tumandok)の闘いを共有した。

 第三会合はファシズムがテーマだった。開発途上国の民衆運動が直面する政治的抑圧と戦争犯罪に関する報告があった。戦争放火者である米国によって抑圧と犯罪がひどくなっている一方で、開発途上諸国の政府が米国との「協力」で軍事力を強めている。フィリピンでの米国が指揮する反革命戦争に関する国際戦争犯罪法廷での米国政府およびマルコス政権とドゥテルテ前政権に対する有罪判決についてバヤンが論議した。「企業化と軍事化に反対するフォーラム」(インド)はインド中央部における反乱鎮圧計画「カガール作戦」の影響についての綿密な分析を提供した。ベランダ・ミグラン(インドネシア)は、インドネシア国軍法の改定が市民の活動領域を侵食する一方で、国家開発計画「黄金のインドネシア」の下でインドネシアが新自由主義政策を更に追求する、と主張した。

 途中、連帯あいさつもあった。リチャード・グレゴリオ・エスピノザ・ロボ(在フィリピン・ベネズエラ大使館臨時公使)笹本潤(アジア太平洋法律家協会)、キリスト教徒の世界的な政治組織である「チャーチ・ピープルズ・レスポンス」、「民族民主主義教職員会議フィリピン大学ディリマン校支部」が発言した。

 

(リチャード・グレゴリオ・エスピノザ・ロボ)

ビデオ・メッセージを送ったのは3団体。マニプール研究提言センターおよび自決と解放のための国際先住民運動の共同代表のジッテン・ユムナムに続いて、自然保護アラブグループおよび食糧主権民衆連合国際共同議長のラザン・ズアイテルは、パレスチナの状況、および、ガザの農業分野の復旧を支援する自然保護アラブグループの努力について述べた。さらに、朝鮮民主主義人民共和国の世界人民連帯朝鮮委員会は、米国が朝鮮半島で自らの軍事ブロックを拡大している動きに焦点を当て、北東アジア地域が戦争の水際に押しやられているという内容の声明を送ってくれた。

 

(ラザン・ズアイテル)

三つの全体会合と連帯発言・メッセージに続いて討論が行われた。冒頭、6組織――米軍基地返還研究所、アジア共同行動日本連絡会議、「米国主導の戦争に反対する抵抗運動」(レジスト)、女性・法・開発アジア太平洋フォーラム、バヤン、全国反帝解放連帯――がそれぞれ地元での活動を報告した。帝国主義の戦争と侵略と対決する運動と活動に焦点が当てられ、共同闘争を具体的にどう実現できるか、可能な方法は何かについて質疑応答が交わされた。つまり、研究と教育、運動、連帯の形成、共同行動、文化製作、経験の共有、連帯のための活動などだ。

 

(質問するAWC関東ユースの仲間)

集会決議に当たる「マニラの誓い」も読み上げられて採択された。内容は次の通りだ。米国主導の戦争と侵略に反対する行動を国内とアジア太平洋地域で強める、闘いの新たな領域を探索する、同じ志のグループとの意思疎通と協力を強化する、国際・地域・国内で反米帝闘争に起ち上がる個人・団体に関わる――。

 

(マニラの誓い、活動の訴え)

最後に、アジア太平洋研究ネットワーク運営委員会代表が総括発言を行い、続いてフィリピン学生同盟事務局長が、反帝国主義闘争を力強く続け、学園・職場・地域など、民衆が抑圧されている所のすべてでそれを実践しようと訴え、会議は終わった。

 

(出所:https://www.aprnet.org/iciwa-communique/)

会議の合間に、海外の仲間とあいさつし(米国のユースの仲間のハグにはシニアとして面喰った)、語り合い、共同闘争の中身を検討する濃密な、というか、責任重大な時間もあった。現場に行って初めて分かることだらけだったのはこれまで同じだった。大変勉強になり、行って良かった。具体的実践的な国際連帯を、どこかの誰か達よろしく言うばかりではなく、実際にしていこうと改めて心に誓った。