日米のアジア支配に反対し、アジア民衆の連帯を推進する

日本連絡会議ニュース

       第1号

    2008年1月8日

    毎週火曜日発行

     

 

 

 

 

 

海上配備型迎撃ミサイル発射実験抗議要請文

(07年12月26日、防衛省前)

 

要請文

石破茂防衛大臣殿

防衛省は12月18日、日本のミサイル防衛システムにおいて初めての迎撃ミサイル発射実験を米国ハワイ沖で強行した。海上自衛隊イージス艦「こんごう」が、米海軍から発射された模擬ミサイルを探知・追尾して海上配備型迎撃ミサイルを発射し、高度100キロ以上の大気圏外でこれを撃ち落したと発表された。海上配備型迎撃ミサイルは2008年1月上旬に長崎県佐世保市の海上自衛隊基地に所属するこんごうに実戦配備される予定になっている。

日本のミサイル防衛システムは、朝鮮民主主義人民共和国から弾道ミサイルが発射されることを想定し、これを海上と地上の2段階で迎撃するという内容だ。地上配備型迎撃ミサイルはすでに今年3月から配備が始まっており、来年3月までに首都圏の4部隊、2012年度までに全国16部隊に配備される予定だ。また、その迎撃実験を、2008年秋をめどに米国のミサイル実験場において米陸軍の協力のもとで初めて行う方針を防衛省は今月20日に明らかにしている。

わたしたちは今回の海上配備型迎撃ミサイル発射実験を強く批判する。同時に、その実戦配備の中止、地上配備型迎撃ミサイルの配備の解除と実験の中止、ミサイル防衛システムそのものの廃棄を防衛省に求める。

第一に、日本のミサイル防衛システムは「侵略」システムだ。朝鮮半島をはじめとするアジアに対する米国の侵略戦争、特に先制攻撃とかたく結びついているしろものだ。「防衛」のためなどではでは断じてない。日本のミサイル防衛システムは米国のミサイル防衛システムと連動している。米国のミサイル防衛システムは、米軍が全世界で行い、また行おうとしている侵略と虐殺への反撃に備えたものだ。すでに多数の在日・在沖米軍基地が存在し、その機能が強化されている日本がミサイル防衛システムを実戦運用するということは、米軍およびそれと一体化しつつある日本軍・自衛隊が、他国からの反撃を受けるような侵略戦争に突撃する可能性を飛躍的に増やすということだ。

実際、日本政府は12月24日に閣議で、今年3月に閣議決定したミサイル防衛の運用手続きを定める緊急対処要領を改定した。地上配備型迎撃ミサイルだけだった迎撃手段に海上配備型迎撃ミサイルを追加し、行動範囲を首都圏から「日本の領域と周辺公海、その上空」に拡大したのだ。来年初めにはミサイル防衛日米共同演習を強行する予定だ。共和国、さらには中国に対するすさまじい軍事的圧力であり恫喝だ。ミサイル防衛システムは集団的自衛権を禁じた日本国憲法に違反する。さらに、今回の実験は宇宙の軍事利用を禁じた「宇宙の平和利用原則」を破るものだ。

日米両政府こそ朝鮮半島とアジアの平和を乱し脅かす張本人だ。断固弾劾する。

第二に、日本のミサイル防衛システムは「利権」システムだ。

防衛省が見込む「2012年度までに8000億-1兆円」というミサイル防衛システムの整備費用は入口にすぎない。次世代ミサイル防衛整備にはその数倍の数兆円以上が必要となる。実戦ではほとんど役に立たないが、ないよりはまし、という指摘が軍事専門家だけでなく政府内部においても少なくないミサイル防衛システムの導入がなぜ決まったのか。自国の軍需産業の利害を代表したブッシュ政権が日本政府にかけた執拗な圧力が第一の理由だが、第二の理由は、それを利用した日本の軍需産業およびそれと癒着した自民党・公明党の腐った政治家と防衛省の盗人官僚どもにとって格好の利権あさりの対象だからだ。導入を推進した中心人物は、ほかならぬ軍需企業からの収賄で逮捕された防衛省前事務次官守屋某だった。「防衛」をもてあそび、「防衛」にたかり、「防衛」で私腹を肥やすことに熱中した守屋が導入を決定したのがミサイル防衛システムなのだ。金にまみれた利権システムであり犯罪システムではないか。ミサイル防衛システムは、日米軍需産業およびそれらと癒着した防衛省前事務次官守屋某に代表される盗人官僚ども、さらには政治家の「防衛」に名を借りた巨大な利権の源泉だ。利権を防衛するシステムだ。人民にとっては血税の壮大な無駄遣いなのだ。

 ところで、石破茂防衛大臣は発射実験後の記者会見で、ミサイル防衛システムが高額だとの批判に対して「効果や人命を救うことを費用で測れるのか」と発言した。防衛省が人命を救うだと? そんなことを誰が信じると思っているのだ。ゴルフをして救うのか? カラオケ歌って救うのか? 海外出張で小遣いもらって救うのか? 顔を洗って出直して来い。日本政府の政策のせいで命を奪われ、また、絶望の底に突き落とされてきた薬害被害者、公害被害者、原爆被害者、生活保護をもらえずに餓死した人たち、野宿を強いられている人たち、明日の展望を全く見出せない非正規職労働者たち、差別と排外主義に苦しむ在日と外国人労働者を無視し抑圧する非情この上ない政府の閣僚が「人の命を救う」だと? 「防衛」を語る資格など一片もない、その高慢で欺瞞に満ちた唾棄すべき上記の発言を弾劾する。

本日午前、韓国ソウルの在韓日本大使館前で、海上配備型迎撃ミサイル実験に抗議する抗議行動が行われた。わたしたちはこれを断固支持する。そして、平和を愛する韓国民衆およびアジア民衆と連帯し、ミサイル防衛システムをはじめとする日本の軍事大国化、日米軍一体化、在日・在沖米軍再編、侵略戦争を起こすための軍事演習と策動に反対する行動を今後も粘り強く続けていく。

石破茂防衛大臣! 「防衛」の名に値しない「防衛省」の人たち! よく聞きなさい! 

ミサイル防衛システムに関する一切の実験・配備・日米共同演習計画を即刻中断し、ミサイル防衛システムそのものを今すぐ破棄しなさい。

以上、強く要請する。

2008年12月26日   アジア共同行動日本連絡会議

 

 

 

 

 

 

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