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南北情勢に関するピョントンサなどの記者会見文


現在の南北間の軍事的緊張増大に関して8月21日にピョントンサなどが開いた緊急記者会見の文章を訳出しました。ピョントンサはこの件について、21日から今日も継続して「南北当局に強く促す」というプラカードを掲げて各地で一人デモを展開しています。


<反戦平和を訴える市民社会団体の緊急記者会見>

南北当局は戦争拡大を呼ぶ軍事的行動を直ちに中断せよ!
―韓国当局の北朝鮮向け心理戦放送中断を強く促す―

非武装地帯地雷爆発事件に続く韓国当局の北朝鮮向け心理戦放送再開が、ついに南北双方間の砲撃戦へと飛び火した。砲撃戦の直後、北朝鮮は総参謀部名義の電話通知文を送って「今日午後5時から48時間内に対北朝鮮心理戦放送を中止し、すべての手段を全面撤去せよ」と要求し、「これを履行しなければ軍事的行動を開始するだろう」と通知した。さらに北朝鮮は、今日午後5時から「前線地帯に準戦時体制を宣言」する予定であり、北朝鮮向け心理戦放送施設に対する打撃とこれに伴う戦争拡大の可能性に備えている。一方、朴槿惠大統領は、NSC(国家安全保障会議)常任委員会を自ら主宰して「北朝鮮の挑発に対しては断固として対応」せよと指示した。合同参謀公報室長も「現在のところ北朝鮮向け放送はそのまま行う」と明らかにし、今日明け方にも拡声器放送を実施した。

これに対し私たちは、韓国当局の対北朝鮮心理戦再開をめぐって発生した南北間の砲撃戦と、これが戦争拡大へとつながる可能性を大きく憂慮し、双方が戦争拡大を呼ぶ軍事的行動を直ちに中断することを促す。

非武装地帯地雷爆発事件は、合同参謀さえ「北朝鮮軍が埋設したことと確実視」されると表現するほかはなかったように、韓国当局はこれを北朝鮮の仕業だと断定する明白で客観的な証拠を提示できなかった。それでも韓国当局はこれを北朝鮮の仕業だと急ぎ規定し、11の地域で北朝鮮向け心理戦放送を再開することによって今回の砲撃戦の口実を提供した。北朝鮮向け心理戦放送が、南北基本合意書をはじめとして、特に「放送と掲示物、電光掲示板、ビラ等を通したすべての宣伝活動と風船、器具を利用した各種物品散布を中止」するとした去る2004年の第2次南北将軍級会談での合意事項に違反することは周知の事実だ。

だからと言って当局の発表どおり北朝鮮が韓国の北朝鮮向け心理戦放送に先制砲撃を加えたのだとすれば、これは自衛権行使の要件である必要性や比例性の範囲を越えることであり正当化することはできない。また、韓国が北朝鮮の数発の砲撃(14.5m高射砲1発、76.2m直射火器数発)に対して、それも一時間以上も過ぎた時点に155m自走砲36発を発射したこともまた、必要性と比例性の原則を逸脱しているものであり正当化することはできない。

このような状況にあって南北が互いに公言した通り、韓国は北朝鮮向け心理戦放送を継続し、北朝鮮はこれに対する軍事的行動に出るとするならば、局地戦はもちろん、最悪の場合、全面戦争も避けられなくなる。韓米当局はすでに「局地挑発準備計画」により「挑発」原点はもちろん、支援・指揮勢力までをも打撃する対北朝鮮局地戦作戦計画を立てている。

もし朝鮮半島において全面戦争が広がるならば、朝鮮戦争の時とは比較できないほどの双方の殺傷力増大によって民族は共倒れを免れないだろう。

たとえ局地戦に留まるとしても、それによる人命と財産の被害など直接的な被害はもちろんのこと、南北間の軍事的緊張と敵対感は手のほどこしようもなく増幅されるだろう。双方間の数十発の砲射撃だけでも、すでに数千人の休戦ライン近隣住民が待避して日常が崩れている現実は、今回の砲撃戦が戦争拡大につながる場合に引き起こされる深刻な被害と混乱した有様をよく示している。

私たちの民族の誰といえども朝鮮半島で戦争が広がるのを決して望んでいない。それでも韓国が、戦争拡大が大きく憂慮される状況で北朝鮮向け心理戦を継続すると主張するのも、北朝鮮が、これに対する軍事的行動に出ると主張するのも、戦争拡大を防止するための努力を放棄した軍事冒険主義的発想であり糾弾されて当然だ。

これに対し私たちは、南北当局が国民の生命を担保にとって、あたかも向かい合って走る列車のようにチキンゲームを行う愚かで無謀な軍事的行動を直ちに中断することを、全ての同胞の名において厳重に要求する。

一つ幸いなのは、北朝鮮が砲撃直後にキム・ヤンゴン労働党秘書名義の書簡をキム・クァンジン大統領府安保室長宛てに送り、北朝鮮向け拡声器放送の中断を要求し、「現事態を収拾して関係改善の出口を開くために努力する意志がある」と明らかにしたという点だ。これに対し私たちは、朴槿惠政府がどうか北朝鮮の今回の対話提案を無視せずに遅滞なく南北対話の場を開き、双方の拡声器放送中断と砲撃戦の拡大防止を含む差し迫った軍事的衝突防止策を迅速に準備し、朝鮮半島の軍事的緊張緩和に乗り出すことを強力に要求する。

2015年8月21日
民族和合運動連合、社会進歩連帯、新しく一つ、全国民主労働組合総連盟、全国学生行進、平和在郷軍人会、平和と統一を開く人々

 

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