アジア共同行動・日本連絡会議

日米のアジア支配に反対し、アジア民衆の連帯を推進する

日本連絡会議ニュース

 

 

 

日本―フィリピンの軍事協力強化に反対する声明


安倍政権による3月29日の戦争法施行から、一挙に自衛隊海外派兵が強まっています。先日、自衛隊の戦艦がフィリピンのスービック港に寄港しました。この時期、つまり4月4日から15日まで、フィリピンでは米比合同軍事演習が大規模に行われていました。これは朝鮮半島のフォールイーグルなど米韓合同軍事演習=朝鮮侵略の核戦争演習と重なっていました。このように、米軍が軸となって自衛隊、韓国国軍、フィリピン国軍が集団的な戦争演習を繰り広げることが、東アジアで強められてい ます。

フィリピンには、米軍が使用しその内部に軍事施設を拡大できるフィリピン基地が今後、5つ以上増える状況にあります。ルソン島にあるフォート・マグサイサイ基地とバサ基地、ビサヤ地方のマクタン・ベニート・エブエン基地、ミナダナオ島のランビア基地、そしてスプラトリー諸島に近いパラワン島のアントニオ・バウティスタ基地といったフィリピン基地を米軍が使用します。事実上、フィリピンが「米軍の不沈空母」とされる事態にあります。そこに、日本とフィリピンの軍事協力が強まっています。

こうした米日と韓国・フィリピン、オーストラリアの集団的自衛権をもってする戦争同盟の強化とは、朝鮮民主主義人民共和国への侵略戦争態勢の強化であり、 大国化した中国の地域覇権に対抗した軍事包囲網であることは明らかです。

そればかりではありません。東アジアから東南アジア・南西アジア、そして中央アジア、中東・北アフリカにおいて、欧米日帝国主義とその同盟国による支配からの解放をたたかう各地の労働者・人民のさまざまな実力決起を軍事的に鎮圧することも目的とされています。

いわゆる「対テロ戦争」です。アジア太平洋地域の労働者・人民による帝国主義勢力たちの侵略戦争と新自由主義的略奪を阻止する国際共同行動がますます問われています。「対テロ」を口実とした侵略戦争と治安弾圧、排外主義の強化を粉砕するために、私たちは反帝国際連帯のたたかいを断固推進していくものです。

わたしたちは、フィリピン人民の解放運動勢力であるバヤンとの間で、日比軍事協力に反対し、米軍をアジアからたたき出す闘いを具体的に推進します。バヤンとの共同声明を掲載します。


日比軍事協力の強化に反対する共同声明

2016年4月4日

フィリピン新民族主義者同盟(BAYAN)/アジア共同行動(AWC)日本連絡会議

フィリピン新民族主義者同盟(BAYAN)とアジア共同行動(AWC)日本連絡会議は、急速に拡大する日比の軍事協力および米比合同軍事演習バリカタンへの自衛隊の公式参加に共同で反対する。

3月2日、海上自衛隊の掃海母艦「うらが」と掃海艇「たかしま」がマニラ湾に寄港した。さらに、4月3日には海上自衛隊の潜水艦「おやしお」が2隻の護衛艦と共に、スービック湾に入港した。これは、4月4日から始まる米比合同軍事演習バリカタン2016と明らかに連動した動きだ。

昨年6月のフィリピン大統領アキノの訪日以降、日本政府とフィリピン政府は二国間軍事協力を急速に拡大してきた。日比首脳会談において、安倍首相とアキノ大統領は「海上安全保障」を名目にして、日比訪問軍協定の締結交渉を進めていくことで合意した。

両国政府は、さらに今年2月29日には、防衛装備品・技術移転協定に調印した。日本はそれにもとづいて、自衛隊の航空機をフィリピンに貸与しようとしている。日本はまた、政府開発援助(ODA)として、フィリピンに巡視艇を供与すること決定している。

それだけでなく、日本は毎年4月に行われている米比合同軍事演習バリカタンに自衛隊を正式に定期参加させようとしていることが明らかになった。それは、米比防衛協力強化協定の下でフィリピンに新たな米軍基地の建設をもくろむ米国と一体となって、東南アジアにおける米日比の軍事的連携をさらに加速させようとするものだ。

これらの動きはこの地域における米国の帝国主義的利害をおし進め、米国のライバルとして台頭する中国を包囲しようとするものだ。米国と日本は軍事緊張をいたずらに激化させており、この地域の軍事化に犯罪的役割を負っている。日本と米国はこの地域での軍事的プレゼンスの拡大するための口実として、スプラトリー諸島(南沙諸島)および南中国海での紛争を利用としているにすぎない。彼らは自らの帝国主義的策動をおし進めるために、フィリピンなどの弱い国を利用しているのだ。

昨年9月19日に強行制定され、今年3月29日に施行された新たな安保法制の下で、日本の安倍政権は自衛隊の海外派兵を強め、その軍事的触手を東南アジアをはじめアジア太平洋地域に拡大しようとしている。そうすることで、日本帝国主義は膨大な経済権益をもつこの地域における独自の軍事的影響力を拡大しようとしている。現在秘密裡に交渉が進められている自衛隊の駐留のための日比訪問軍協定の締結策動が示すように、フィリピンはそうした日本の野望の第一の標的となっている。この動きはまた、米日軍事同盟を強化し、米帝国主義の「再均衡」戦略あるいは「アジア回帰」を補完するものである。

われわれフィリピンと日本の民衆運動は、相互の連帯を表明しつつ、日米の軍事的策動に対する断固とした共同の反撃を組織する。われわれは米日比の軍事的連携の強化、日比軍事協力の拡大、日本の軍事大国化に反対してたたかう。われわれは軍事演習の実施、新たなフィリピンでの米軍基地の建設、日本での米軍基地の強化に反対する。同時にわれわれは、日本軍性奴隷制度の被害者をはじめ日本のかつての侵略戦争・植民地支配によるフィリピンおよびすべての国・地域の被害者への公式謝罪と国家賠償を日本政府に対して要求する。われわれは、すべての領土・領海問題の平和的・外交的な解決を望み、この地域における帝国主義諸国のいかなる軍拡にも反対する。

日比の軍事協力強化を阻止しよう!
日本の新安保法制と軍事大国化に反対!
米日比の軍事的連携の強化反対
米日帝国主義を打ち倒そう!
フィリピンと日本の民衆の反帝国主義にもとづく国際連帯万歳!


比5基地 米軍使用


■資料

「いっそう多くの軍事基地の設置を準備している米国」
バヤン ニュースリリース
2016年4月16日

諸団体を傘下に有する新民族主義者同盟(BAYAN)は、本日、米国政府がフィリピンにおける米軍基地を再配備するために中国との領海紛争を利用することに関し、強く非難した。米国国防長官アシュ・カーターがアジア歴訪直前に彼がレポーターとのインタビューで述べたことは、「防衛協力協定強化」のもとで米軍が使用される軍事基地の数が数年をかけて増強されることに期待している、というのだ。カーターはその正確な数を明かさなかった。

「それは始まっている」とカーターはいう。彼の言うところを引用すると、「協定は今後、いっそう多くの場所を提供する。だから米軍進駐地はもっと多くなるのだが、ちょうど五つの主要な用地がある」と。

「私たちだけの権益ではなく私たちのいっそう広い権益を防衛するうえで、この地域の友人や同盟国を支援する目的のために、米軍事力がフィリピン内外で作戦遂行するローテイション配備として」、五つの軍事基地が許可されるであろう、とカーターは語ったのだ。

進行する中国との海洋紛争について支援する約束と交換し、フィリピン政府が自分自身から米国に騙されており、外国の軍事基地を許可している、とバヤンは主張した。

「アキノ政府は、国内に外国軍事基地が戻ってくる水門を開けた政権となって、歴史に記録されるであろう。米軍は五つの軍事基地にとどまらない。彼らはもっと欲しがっている。彼らはフィリピンを米軍の不沈空母とするよう要求し、この地域の米軍による軍事支配を押しすすめていくものだ」と、レナート・レイエス・JR、バヤン書記長は憤った。

「私たちと中国の紛争は、ある別の国が私たちの自決権を破壊することを許す理由とされ、そのように決して利用させてはならない。疑問の多い無制限の協定のもとで、米軍基地が舞い戻ることを正当化するために利用されるなど到底許すことができない」と、レイエスは付け加えた。

フィリピンが中国の侵略行為に反対して立ち上がること、これは避けられないとバヤンは主張した。けれども、EDCA(防衛協力協定強化)のもとで目論まれるような外国の軍事基地は、必ずフィリピンの自決権と領土保全を破壊するものなのだ、と、バヤンは指摘した。ある地域へ永久に配置されるたくさんの米兵部隊が存在する時には、売春、女性や子どもへの暴力、麻薬、その他の犯罪など、そうした様々な社会問題が発生することについても、バヤンは言及した。

フィリピンの米軍基地は地域のいっそう広大な米国権益のために使用されるであろうといったカーターの表明に関して、その意味するところは、他の国々への無人機攻撃のような米国の軍事介入のためにフィリピンを使用できることであり、それゆえ、バヤンは重大な危惧を表明した。

「米国が私たちに何かをもって援助したいと申し出るたびごとに、それは本当の善意からであるはずがない。それは絶えず米国の戦略的利益と繋がっているのだ。私たちを植民地支配する以前、米国がスペインに対抗して、私たちに援助をすると言ってきた時がそうしたケースだった。ここフィリピンに彼らが軍事基地を再び得るために、中国に対抗して支援を申し出る状況の現在こそが、同じケースなのだ」と、レイエスは語った。

「フィリピン人だけがフィリピンの自決権を守るうえで頼りとなる。私たちは他の国に私たちのためにそうすることを頼むことはできない。私たちは、フィリピンを強め、その工業化を進めなくてはならない。それだけが対外的な防衛に関して、私たちの能力を発展させることができる。一方、私たちは中国との紛争を解決するために外交的な合法的な手段を役立たせつづけていくつもりだ。この地域の軍拡競争に関与する二つの超大国に捉われることなど、私たちは絶対に欲しないことなのだ」と、彼は付け加えた。

国内への新しい米軍基地の建設を効果的に止めるためには、次期のフィリピン大統領にEDCA(防衛協力協定強化)の見直しと終結を押し立たせていくことにある、とバヤンは主張した。より早く米軍強化を止めるには、アキノ大統領の最後の百日間には協定強化を封印し、EDCA(防衛協力協定強化)の下で五つの新しい軍事基地を無効の契約とするだと、バヤンは強く求めた。

関連資料

» 日比軍事協力の強化に反対する共同声明(PDFファイル・約158KB)


日本―フィリピンの軍事協力強化に反対・その1

日本―フィリピンの軍事協力強化に反対・その2

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