AWC情報 2008.6.11

       

 

 

 

 

この間の韓国情勢について、イ・スガプさんからの報告をお送りします。最後に100万大行進への参加を訴える全国公共運輸労働組合連盟の文章を訳出しました。

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<6月4日付>

お元気ですか。連日、ごくろうさまです。韓国の情勢についてニュースを通じて確認しておられるだろうと思います。米国産牛肉の輸入問題についての対政府闘争の動機と本質について報告いたします。

アメリカ資本主義の輸出開放の手段は、人間の生命の尊厳さえ考慮しません。手段と方法を選ばずに帝国主義の加圧的手段によってブッシュが韓国に強要し、帝国主義追従勢力であるイ・ミョンバクが大統領という権力を悪用して国民の生命と主権を売り渡したのが、今回の韓米牛肉輸入協定です。(略)このたびの米国産牛肉輸入協定反対闘争は、日を追って反帝国主義・新自由主義闘争として露骨化しており、運動圏中心の反帝国主義闘争を飛び越えて、各界各層を網羅した民衆闘争へと強化されつつあります。(略)

全国の大学で同盟休校をもって市民たちの闘争に連帯することにしました。鉄道労組をはじめとした運輸産別労組が釜山をはじめとして、牛肉の輸入が中止された冷凍倉庫を包囲して輸送阻止闘争をしており、大学教授労組が声明を発表し、全国の大学教授たちの連帯闘争を着々と準備しています。米国のブッシュと韓国のイ・ミョンバクの結託に対して、絶対多数の国民たちの怒りが今回の闘争で余すところ無く爆発しています。

保守マスコミ、与党のハンナラ党の世論調査、世論調査専門機関から発表したイ・ミョンバク政府の支持率は、20%、17%、18%となっていることが公表されています。今回の闘争をいっそう強化するために、韓国の歴史を転換させた6・10民衆抗争を記念した100万人動員闘争と、6月13日にヒョスニ・ミソニが米軍の戦車にひき殺された追悼闘争へと繋がる闘争に強化していくことを確信しています。

 

<6月5日付> 

駐韓米国大使の韓国民に対する侮辱的な発言にたいして、BSE対策・大学生委員会の代表9人が4日、駐韓米大使館を抗議訪問して駐韓米大使の妄言を取り消し、韓国民に謝罪せよという記者会見を行い抗議文を手渡しました。駐韓アメリカ大使は「韓国民がBSEに対してよく知らずに輸入に反対しているので残念である」と公的に発言し、野党のソン・ハッキュ代表に電話して抗議するという暴挙をおこないました。これは主権国家を無視する行為です。

6月4日には、地方自治基礎団体長(郡守、区役所長)9ヶ所、広域市議員29ヶ所、基礎自治体議員14ヶ所の合計52ヶ所で補欠選挙が行われました。その結果は、与党のハンナラ党が基礎団体長1ヶ所で当選(対立候補がないように工作した結果、無投票当選)したことを除けばハンナラ党は全敗しました。その他51ヶ所では、野党の民主党と、無所属が当選し、民主労働党からは郡・区議員1名が当選しました。このような補欠選挙結果は、イ・ミョンバクに対する全面的な不信任を示しています。これに対してハンナラ党は公式声明を発表し、国民の意志を深く受け入れ、国民の意志に従ってこれからの政策を行うと謝罪しました。

大学生のイ・ミョンバク政府に対する闘争が全国的に継続しており、6月6~8日の三連休は、夜間にロウソクデモを、昼間にはリレーデモと集会を連続して展開し、6・10民衆抗争記念100万人文化祭、6.13ヒョスニ・ミソニ米軍虐殺蛮行追慕集会、6.15南北共同宣言記念行事などへと続く全面的な対政府闘争が展開されます。(略)

 

<6月5日付・追加報告>

民主社会のための民権弁護士会は今日、韓米牛肉協定は国民の主権を剥奪した憲法違反であるとして市民9万7千人が原告になった憲法訴願(違憲訴訟)を憲法裁判所に提出しました。憲法裁判史上、原告が9万7千人になったことは初めてであり、民弁は全的に裁判に臨むと発表しました。私の予想では、憲法違反が確定すればイ・ミョンバク大統領が憲法違反をしたということで弾劾事由になると思えます。

今回、国民の生命と主権をブッシュに売り飛ばすことになったのは、4月18日に米国の要請で韓米首脳会談をするにあたって国際社会で韓米同盟の強化に決定的な役割をしようとイ・ミョンバクがブッシュと結託したことに端を発しています。このような事実を将来もっと明白にして、弾劾の方向に繋げることが非常に重要だと思います。

 

<6月6日付>

5日19時、ソウル市庁まえ、徳壽宮まえの車道を占領して行われた牛肉輸入反対のロウソク集会への参加者を、主催者側は10万人、警察は5万人と発表しました。それほどの人の波が結集してイ・ミョンバク政権糾弾集会を開催しました。

5年前のイラク派兵反対闘争いらい、大学生の闘争はこの間静まった状態だったのですが、釜山大学を始めとした釜山地域の4つの大学の学生たちの同盟休学につづいて、ソウルでは、ソウル大総学生会が初めて全校生徒の賛否投票を経てBSE牛肉の輸入反対闘争に合流するために5日一日同盟休校をおこない、校内でイ・ミョンバク政府糾弾集会を開き、デモをしながらソウル市庁前の集会現場でロウソクデモと集会に合流しました。いっぽう高麗大では同盟休校のための全校生投票に入り、延世大、梨花大、弘益大、淑明女子大の学生たちは科別休講をして新村ロータリーで別途にろうそく集会をし、20時から市庁まえ(徳壽宮)本集会に参加し、南大門、乙支路、光化門を通るデモに参加しました。

デモに参加した隊列は、約3万人であり、そのうち一部は大統領府を攻撃するために光化門から進撃を試みましたが、警察の妨害でやむなく方向を西大門警察署に向けかえて進撃し、警察署長の罷免を強く要求する闘争を展開しました。一部は72時間連続闘争で徹夜デモとロウソク集会をしました。

一般的なニュースは日本でも流れたと思いますので、今回の反政府反米闘争のロウソク集会の特殊な状況を可能な限り報告します。

今回の闘争の特殊な場面は、多くの主婦たちが学生たちの代わりに集会に参加していることです。主婦たちがビラをもって参加しています。「子どもたちよ、すまない。私たちが責任とるから」というスローガンの書かれたビラを配りながらデモに参加し、特に乳母車に子どもたちを乗せてまでたくさん参加していることが特に変わった状況です。これは草創期に中高生たちがロウソクデモをしたことに対して、これを学校当局が妨害したので母親たちが多数参加して子どもたちの代わりにロウソク集会に参加しているのです。

主催側は運動圏ではなく一般市民たちが主催しており、運動圏からも市民の立場で発言の申請をして自由に発言できます。ろうそく文化祭として大衆化した集会とデモをするのを見ることができ、現場で対政府糾弾もすることができます。公共企業を資本家に売り飛ばして国民の負担を増やしている民営化絶対反対/イ・ミョンバクは覚醒せよ/水道・ガス・電気を民営化して資本家を太らせるイ・ミョンバクに反対する、などなど新自由主義構造調整に反対する闘争を大衆化して多数国民に共感を広げることができるようにしています。

政府の妨害工作、警察力での集会妨害をすればするほど、いっそう闘争が強化されるので、市庁前広場を届出なしに不法に北派特殊工作隊(共和国に浸透させた特殊工作隊とその遺族の極右たち)をソウル市庁まえのロウソク集会場に集め、数千個の位牌を1メートル間隔に配置して集会をできなくさせるなど悪辣な妨害工作をしているので、徳壽宮まえから南大門まで8車線道路を完全に占拠して集会を強行するほかはありませんでした。

さらに、ハンナラ党とイ・ミョンバク政府の間に分裂が激化しています。イ・ミョンバク政権が今回の地方自治体補欠選挙で惨敗したことで支持率が16%に落ち、「この責任はイ・ミョンバク大統領との周囲にある、内閣と大統領府が責任をとれ」と、ハンナラ党内で責任のなすりあいによって分裂状況が露出しており、このさきますます激化すると思われます。

今日から3日間は昼間にも連続集会とデモがあるので、いまから現場に行きます。

 

<6月7日付>

30回目のロウソク集会は、72時間のリレー集会、デモが、午後4時から始まり、チョンノ5街、大学路から6000人以上が集会をしてソウル市庁前までデモ行進し、ソウル市庁前本集会場に集結しました。市庁前広場では、15万を超える市民が結集して、「牛肉輸入協議を無効化せよ、イ・ミョンバクは退陣せよ」という糾弾集会をして、夜8時30分ごろ市庁前広場はもちろん、ウルチロ、ソゴン洞、光化門十字路一帯をぎっしりと埋めつくしました。街頭行進に出発するデモ隊が広場から出るだけでも1時間かかりました。夜8時30分から3つに分かれて行進を始めました。2万人以上が光化門方向に行進しようとしていて警察の阻止によって対峙しました。他の市民たちはソウル駅と明洞方向に進撃し、5千人は安国洞の韓国日報横から大使館の近くを通って大統領府に向かって進撃を試み、ソウル駅に向かって進撃した1万人のデモ隊は方向を変えて、西大門にある警察庁に集結して警察庁前でオ・チョンス警察庁長を逮捕せよと強力な抗議闘争を展開しました。

今回の72時間リレー連続闘争では、6月10日の6・10民衆抗争21周年(1987年民主抗争で全斗煥軍事政権を屈服させた)記念行事に100万民衆闘争を展開することを目標に闘争を強化することをめざしています。龍山の米8軍司令部前で500人が抗議集会をして、駐韓米大使は謝罪せよという糾弾集会をしました。この日、ソウルだけでも15万人が街頭行進をし、韓米牛肉協定の無効化、イ・ミョンバク退陣というスローガンでソウル市内を覆い尽くし、数多くの市民の拍手喝采と喊声で応えました。

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<6月10日の100万大行進への全国公共運輸労働組合連盟の呼びかけ文>

BSE牛肉輸入反対!民営化反対!大運河反対!ガソリン価格を引き下げろ!

公共運輸労働者が先頭に立ってロウソクを松明(たいまつ)に!

 

組合員のみなさん。ロウソクの力は偉大です。

5月の初旬に女子中学生、女子高校生たちの小さな集会から始まったロウソクが全国民の胸を照らし今10万人が集まり、20万人が集まり、ついに6月10日には100万人が集まる巨大な行動に発展しています。

私たちは今、1987年民主化闘争の巨大な力がふたたび街に表れ出ていることを目撃しています。ロウソクの力に押されてイ・ミョンバク政権のBSE牛肉輸入、許せない民営化、とんでもない大運河政策が、いやイ・ミョンバク政権そのものが深刻な危機に直面しています。

ロウソクの力に驚いたイ・ミョンバク政権は責任のなすりあいを演じ、権力争いと内紛に突き進んでいます。

6月10日100万ロウソク大行進に労働者が立ち上がりましょう。

私たち公共運輸労組の労働者は、BSE牛肉輸入反対闘争をともに闘ってきました。運輸労組のBSE牛肉輸送拒否宣言はたいへんな支持を得て、ロウソク集会にも大きな力になりました。公共研究労組のキム・イテ組合員の大運河良心宣言は、みみっちい策を弄していたイ・ミョンバク政権を窮地に追いやり、大運河の強行をとりあえず阻止するのに決定的な役割を果たしました。この渦中に残念にも公共労組組合員のイ・ビョンニョルさんがイ・ミョンバク政権に対して焼身抗議されましたが、結局今日亡くなられました。

ロウソクは偉大ですが、いっそう強力な松明の炎に燃え上がらせなければなりません。傲慢なイ・ミョンバク政権は相変わらず米国と韓国の大資本の利益と自分自身の権力を維持することに汲々とするだけで、国民の声を無視し続けています。

1987年の巨大な民衆抗争の力によって誕生して韓国社会の進歩と闘争の求心を象徴した労働者運動が全面的に立ち上がるときです。

すでに学生たちは行動しています。ソウル大学では89%の圧倒的な賛成で同盟休校が決議され、ソウルと釜山、そして光州など全国で同盟休校が拡大しています。

組合員のみなさん!6月10日にはあらゆる力を尽くして100万ロウソク大行進にともに参加しましょう。1987年6月抗争21周年を迎えるこの日、公共運輸労働者たちが総力闘争に立ち上がりましょう。ストをし、車両デモを繰り広げ、総会を通じて街頭に出ましょう。組合員だけでなく家族や友人、市民をロウソク大行進にいっしょに参加するよう呼びかけましょう。

圧倒的なストライキへの賛成で、民主労総ゼネストを作り上げましょう。

もう仕事を中断し、車両を停め、本を閉じて、私たちの未来のために闘争するときです。6月10日から14日まで行われるストライキ賛否投票は、ただBSE牛肉輸入に反対するストライキの賛否投票であるだけではありません。この投票は、公企業民営化と構造調整に立ち向かう賛否投票です。

私たち公共運輸労働者が圧倒的な賛成票でストライキを決議し、また実際にストに立ち上がりましょう。政権は危機に陥っており、全国民が民主労総と私たち公共運輸労働者たちの闘争を支持しています。

今こそ闘って勝利するときです。

2008年6月9日

全国公共運輸労働組合連盟 委員長イム・ソンギュ

 

   

 

 

 

 

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