韓米合同軍事演習に対する抗議声明

       

 

 

 

 

韓米合同軍事演習に対する抗議声明

 

8月17日から27日まで、米韓合同軍事演習ウルチ・フリーダム・ガーディアン(以下、UFG演習とする)が韓国で実施されている。

 

今年のUFG演習は、駐韓米軍ほか海外駐屯米軍約1万人、韓国軍は軍団、艦隊、飛行団級以上の指揮部5万6千人が参加し、さらにUFG演習の一環である韓国政府の軍事支援訓練には行政機構や企業から約40万人が動員される世界最大規模の軍事演習である。

UFG演習は、朝鮮民主主義人民共和国軍の撃滅、共和国政権の崩壊、(北侵)統一与件の造成(共和国の占領)を目標とする作戦計画5027に基づいて実施されてきたものである。作戦計画5027は1974年に作られて以降、2000年以降も5027-02では共和国首脳部の除去および先制攻撃を、5027-04では共和国のミサイル攻撃への対備策を追加するなど一貫して強化されてきた。UFG演習では韓米連合軍が南侵を阻止する第一段階に続き、第2段階として38度線の北側へ反撃することを含む北侵先制攻撃を遂行するウォー・ゲーム(コンピューター・シミュレーション)演習が実施されている。

米韓当局は、今回のUFG演習では作戦計画5027に代わる新しい作戦計画を初めて適用し、2012年の戦時統制権返還を前提として韓国軍が主導し米軍がこれを支援するとしている。だがそれは何らこの演習の侵略性を低めるものではない。昨年のUFG演習が終わった直後、われわれは韓国・台湾・フィリピン・日本の民衆団体によって、38度線直下に位置するムゴン里訓練場拡張敷地内で東アジア民衆平和会議を開催した。米軍は不要となった米軍基地を一部返還する代わりに、ムゴン里訓練場をはじめとする広大な韓国軍訓練場を自由に使用して日常的に共和国の鼻先で大規模な侵略的軍事演習を展開していた。駐韓米軍の縮小をうたった駐韓米軍の再編・再配置が、縮小どころかむしろ駐韓米軍の東アジア全域への侵略のための迅速機動軍への再編強化を意味したように、韓国軍主導-米軍支援の軍事体制への移行とは、米軍への従属性をいっそう強め、米軍と韓国軍との一体化と侵略性をいっそう強化するものに他ならない。

米韓当局は、この軍事演習強行が共和国への軍事的恫喝となるという批判をかわそうと、今回のUFG演習は実動演習を伴わないコンピューターによるシミュレーション演習であり、かつ年次的防御演習なので共和国が反発する理由がないとしている。さらに付け加えて、共和国を刺激しないため今年はピョンヤンに到達する前段階で訓練を中断するとしている。しかし、シミュレーションとは即ち実戦のための指揮演習に他ならず、またピョンヤン到達直前段階で訓練を終わったところでこの演習全体の侵略性が変化するはずもない。

共和国に対する侵略的軍事演習は一年間を通じて強行され、強化・拡大され続けている。毎年3月には沖縄・岩国の米海兵隊も参加して韓国全土で、大規模上陸作戦など実戦野外機動訓練を含む対北先制攻撃演習=キーリゾルブ・フォールイーグル演習が行われる。8月のUFG演習が終了するやいなや、10月から11月にかけては韓国軍の「護国訓練」の一環として、ピョンヤン上陸侵攻を想定した大規模上陸作戦が(ピョンヤンに程近い西海岸に酷似した地形の)韓国沿岸で韓米合同軍1万人以上の参加をもって強行されている。

このような一連の大規模軍事演習はそれ自体が朝鮮民主主義人民共和国に対する武力示威にほかならない。共和国は板門店代表部を通じて、このたびのUFG演習は対北侵略戦争演習」であり、共和国を「標的とした侵略的な戦争行為」だと非難しつつ「(我が方の自主権を侵害するささいな軍事的挑発行為が起きれば、核抑止力を含むすべての攻撃・防御手段を総動員し、せん滅的打撃を加えるだろう」と警告した。また韓国民衆も「演習の縮小ではなく全面中止を」と要求しているにも関わらず、米韓当局はUFG演習を強行している。これが危険極まりない軍事的挑発でなくて何だろうか?

誰が朝鮮半島の軍事的緊張を高め、戦争の危機を作り出しているのかはすでに明白である。われわれは朝鮮半島民衆の声を無視して強行されているUFG演習に抗議し、すべての韓米軍事演習を完全に中止するよう求める。また日米安保体制下で岩国、沖縄をはじめとした在日米軍基地がこれらの侵略的軍事演習の拠点となっていることに断固として抗議する。

侵略的韓米合同軍事演習を即刻中止せよ!

米政府は駐韓米軍を撤収させ朝鮮半島平和協定を締結せよ!

米韓、および日本政府は共和国に対する敵対政策を中止し、制裁を解除せよ!日本政府は日朝国交正常化を行なえ!

米・日・韓国政府は米軍再編・再配置計画を撤回せよ!ムゴン里訓練場拡張反対!沖縄・岩国米軍基地強化反対!アジア駐屯米軍の総撤収を!

 

2009年8月22日

アジア共同行動(AWC)日本連絡会議(2009年夏期反戦合宿にて決議)

 

   

 

 

 

 

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