[天安艦沈没事件、調査結果発表に対する記者会見文]

       

 

 

 

 

[天安艦沈没事件、調査結果発表に対する記者会見文]

イ・ミョンバク政府の天安艦沈没事件に対する、仕組まれた調査結果を認めることはできない!

 

軍とイ・ミョンバク政府が20日天安艦沈没事件について「北の武力攻撃による挑発」と規定する真相調査結果を発表した。

私たちは調査内容、調査過程と方向、調査主体などすべての側面から調査の科学性と客観性、透明性と公正性を認めることはできない。よって次の通り私たちの立場を明らかにする。

第一に、私たちは軍が提示する‘証拠’を信じることはできない。

軍は‘1番’という文字が書かれた‘魚雷プロペラ(推進機)’破片を事故海域で回収したということを決定的な証拠として提出している。 軍発表の事実関係についての客観的検証問題を除外したとしても、事故海域から北の魚雷のプロペラ破片が発見されたことが、ただちに北が魚雷で天安艦を攻撃したという決定的な証拠になりはしない。 なぜならそれは北側海域からいくらでも潮流に流されてくることがありうるからだ。 北の訓練用軽魚雷が潮流に流されて南海と西海が接する地点で回収されたということはその可能性を示している。 ひどく腐食した破片の状態を見ても、それを今回の事故と関連づけてみることは難しい。 このような点から軍内部でも慎重論が提起されたと言われている。

天安艦の煙突と切断面、海底で発見されたという火薬痕と金属破片も事故海域が韓国軍の射撃訓練区域の一帯だという点から、韓国軍や米軍のものではないことが立証されねばならないし、それのみならず、北の軍の訓練痕跡が潮流に流されてきたものではないということが立証されてこそ証拠の一つとして提示されることができるのだ。 火薬痕は、天安艦自身の砲煙ではないかどうかも検証されなければならない。 しかし軍はこういう過程を経なかったとされている。

このように軍の調査内容は、厳正で科学的な調査とはほど遠い。 このような点で私たちは客観性と科学性が担保されていない調査内容を認めることはできない。

第二に、私たちは軍の調査過程と方向を信じることはできない。

軍は天安艦沈没事故の真相を明らかにする核心的で基本的な資料さえ全く公開しなかった。 韓国海軍戦術資料体系(KNTDS)レーダー映像と熱像観測装備(TOD)映像、事件発生前後の航跡記録と交信記録、天安艦の切断面、生存者陳述書などがまさにそれだ。 こういう基礎的な資料さえ公開しない不透明な調査結果発表を私たちは全く信じることはできない。

また、軍は初期から座礁や疲労破壊など他の可能性を事実上遮断したまま、ひたすら外部攻撃を立証するのに没頭した。 また提起される数多くの疑惑と問題提起に対して説得力ある返事も、反論も提起できなかった。 かえって問題提起する人たちを告発して口を塞ごうとした。 こういう形態は公正で客観的な調査に反する。

そのうえ軍は‘決定的証拠’と主張する魚雷のプロペラ破片が発見される前から天安艦沈没原因を北の攻撃だと罪をかぶせた。 また、魚雷攻撃を受けた箇所だと軍が指定したガスタービン室はまだ引き揚げされてもいなかった。 ところが軍は魚雷攻撃かどうかを判断するができる核心的な船体部位に対する科学的で慎重な調査をすることもせず調査結果を急いで発表した。 コンピュータシミュレーションにもこれを反映できなかったことはもちろんだ。

このような点で私たちは軍が北の魚雷攻撃という結論をあらかじめ下ろして、それに合わせた調査をしたと見なさないわけにはいかないのだ。 したがって私たちは調査過程と方向において客観性と公正性を欠いた軍の調査結果を信じることはできない。

第三に、私たちは調査対象者が調査を主導した結果を信じることはできない。

軍は事件発生の責任者であり事件の隠蔽わい曲の責任者だ。 そのうえ船体に対する証拠隠滅疑惑まで提起されているような実情である。 軍は調査の対象者だ。 調査対象者が調査を主導するのは調査の公正性を決定的に突き崩すことだ。 調査対象者は自身の責任を最小化する方向で調査をする可能性が高いからだ。 このような点でイ・ミョンバク政府が最小限、事件発生当時の責任者らが調査を主導し指揮する状況は防ぐべきだった。 しかし政府は事件発生当時の指揮部に調査を指揮させるようにした。 このような点で私たちは被告人が検事になってしまったこの調査結果を決して認めることはできない。

私たちは軍とイ・ミョンバク政府が、国民が全く信頼できない荒唐無稽な調査結果を発表したのは、各自の利害関係が作用したものと見ている。 軍は自分たちに集まる国民の怒りをとんでもないところに転嫁して自身の責任を最小化し、イ・ミョンバク政府は北風追求(訳注:北が攻撃してくるぞという宣伝)を通じて選挙で有利な局面を作ろうとする意図で拙速に調査結果を発表したと考える。 さらにイ・ミョンバク政府は韓半島非核化と平和協定締結による反北朝鮮守旧勢力の既得権崩壊の危険を、天安艦事件を口実にして食い止めようとしていると見られる。

私たちはイ・ミョンバク政府が天安艦事件を北の攻撃と断定することによって韓半島に軍事的緊張が高まるのを大きく憂慮する。 北はすでにイ・ミョンバク政府の調査結果発表をねつ造だと規定して検閲団(訳注:調査団)を派遣するという立場を明らかにしながら“いかなる制裁に対しても即時全面戦争を含んださまざまな強硬措置で答えるだろう"と警告している。

また、内容が基準に達していない調査結果の発表によって、国論が分裂し国際的恥さらしを自ら招くのではないかと憂慮する。

ここに私たちは軍とイ・ミョンバク政府の今日の調査結果発表を認められないということをはっきりと明らかにする。 私たちは天安艦沈没事件の真実を知りたいと願う国民と同じように、ありのままの事実を知りたいと願っている。 私たちはKNTDSレーダー映像とTOD動画など核心的な資料を公開して国政調査を含めて国民が信頼できる主体による全面再調査を要求する。 私たちは真実を望む国民と共に、天安艦事件の客観的で科学的な真相究明のためにあらゆる努力をつくすだろう。

2010.5.20.

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