日米のアジア支配に反対し、アジア民衆の連帯を推進する

日本連絡会議ニュース

       第42号

    2009年12月29日

     火曜日発行

 

 

 

 

 

文部科学省が高校新学習指導要領解説書に記載した領土問題に関する記載を弾劾する声明(アジア共同行動日本連) 2009.12.28

2009年12月25日に文部科学省が、2013年度から実施される高校の新学習指導要領解説書を公表した。同省は同解説書の「地理歴史編 第5節 地理A 2 内容とその取扱い (1)現代世界の特色と諸課題の地理的考察」で、領土問題について次のように触れた。

(引用はじめ)また、「日本の…領域」については、「日本の領域をめぐる問題にも触れること」(内容の取扱い)と示されていることに留意し、北方領土(ママ)など我が国が当面する領土問題や経済水域の問題などを取り上げ、国境のもつ意義や領土問題が人々の生活に及ぼす影響などを考察できるようにする。なお、北方領土(ママ)など我が国が当面する領土問題については、中学校における学習を踏まえ、我が国が正当に主張している立場に基づいて的確に扱い、領土問題について理解を深めさせることが必要である。(引用終わり)

以上の引用文のうち、「北方領土など……必要である」という部分が「(2)現代世界の系統地理的考察」においても繰り返されている。

昨2008年7月に同省が公表した中学校新学習指導要領解説書は「また、我が国と韓国の間に竹島(ママ)をめぐって主張に相違があることなどにも触れ、北方領土(ママ)と同様に我が国の領土・領域について理解を深めさせることも必要である。」としたが、今回の解説書には「竹島」に関する記述がない。韓国に対する配慮とするマスコミ報道もある。

しかし、「我が国固有の領土で、韓国が不法占拠している」という独島に関する日本政府の公式見解を子どもたちに植え付けろという策動がなくなったのではない。それは現在進行形なのだ。事実、川端達夫文部科学相は、「竹島はわが国固有の領土であり、正しく認識させることに何ら変更があるわけではない」と強調し、鈴木寛副文科相もまた「我が国固有の領土で、韓国が不法占拠している」という政府公式見解に沿って、高校においても指導するよう求めると明言している。

2005年3月に島根県議会が行った「竹島の日」条例制定、昨年の中学校新学習指導要領解説書に続く民族排外主義の煽動そのものだ。絶対に許せない。

日本は約100年前までは歴史的に独島を自らの領土と認識してこなかった。江戸幕府も明治政府も、独島は朝鮮の領土と認めていたのだ。ところが、日露戦争のさなかに明治政府が独島の軍事的拠点としての有用性に注目し、朝鮮植民地支配の実質的初年である1905年に勝手に自国の領土と決め付けて奪い去ったのだ。略奪したのだ。盗んだのだ。泥棒だ。帝国主義的犯罪行為そのものだ。自らの土地を奪われた韓国・朝鮮民主主義人民共和国の民衆が独島問題に関して日本に対し怒りの声を上げるのは当然だ。帝国主義的拡張主義の元に奪い去ったものは謝罪とともに返還するのが当然なのだ。

私達は2005年3月16日、島根県議会において圧倒的多数の賛成で「竹島の日」条例が制定されたことに抗議し、「独島(トクト)=「竹島」問題に関する声明」をだした。独島に関する歴史的経過に関する部分を以下引用する。

(1)歴史的に朝鮮領であった独島(竹島)

江戸幕府は、独島のことを「松島」と呼び、「竹島」と呼ばれていた欝陵島とともに、日本人の渡航・居住が禁止された朝鮮領と認識していた。幕府の官撰地図に「松島」(独島)は記載されなかった。

明治政府も1905年の編入までは独島を朝鮮領と認識していた。1869年に調査のため朝鮮に派遣された外務省高官は、翌年提出した報告書『朝鮮国交際始末内探書』で、「竹島」(欝陵島)と「松島」(独島)は朝鮮付属になったとした。1877年、当時の最高国家機関である太政官が「日本海内竹島外一島ヲ版圖外ト定ム」(注:「竹島」は欝陵島を、「外一島」は独島を指す)とする指令を発した。両島は版図外、すなわち日本領ではないとする公式宣言である。1894年、明治政府が国家事業として製作した地図が『大日本管轄分地図』として発刊されたが、そこに両島は記載されなかった。日本海軍は、『朝鮮水路誌』94年版・99年版に両島を記載した。これは独島が朝鮮領であると認識していたことを示している。1900年、大韓帝国は勅令41号で鬱陵島周辺の「石島」(独島)が同国の統治下にあるとした。これに対し明治政府は異見を出さなかった。

(2)朝鮮植民地支配の開始と結びついた独島略奪

ところが、1905年、明治政府は日露戦争のさなかに軍事施設建設を目的として、そして同時に韓国に対する植民地化政策の激化の只中で独島を強奪したのである。「米国はフィリピン、英国はインド、日本は朝鮮」を手に入れるとした日米英間の帝国主義的合意を背景に、1904年2月、日本軍は日露戦争突入とともに仁川に上陸し首都漢城を制圧した。同月には日韓議定書調印を強要、5月には対韓施設綱領の閣議決定、9月には第一次日韓協約を結んだ。ロシア海軍が日本の輸送船を沈める状況の下、11月にはロシアにおいて「リアンクール島」と呼ばれていた独島にロシア海軍監視用望楼の建設が可能であると予備調査で確認。翌1905年1月、明治政府が「リアンクール島」を「無主地」と決め付けてその領土編入を閣議決定し、「竹島」と命名した。その際、関係国であるはずの朝鮮との協議も、官報による公示もなかった。政府の訓令を受けた島根県が県告示40号で同島を「竹島」と命名し、隠岐島司の所管にすると公示した。同年7月、同島に望楼が着工され8月から活動が始まった。つまり、日露戦争に勝つための軍事施設の建設を目的として独島の領土編入が秘密裏に強行されたのである。これは、戦時を理由に他国領と認識していながら領土編入した、まさしく帝国主義的な領土獲得であった(以上の歴史経過は半月城「日本の竹島=独島放棄と領土編入」(『日朝関係史論集』、新幹社、2003)に拠る)。そして、それは1905年10月の「乙巳保護条約」の強制による朝鮮植民地支配の開始と一体のものであった。(引用終わり)

しかし、日本の議会政党は自民党から共産党まで一つ残らず「竹島は日本の領土」と主張している。左派陣営においても、多くは日本においては右翼の主張である民族主義を嫌悪するためか、領土問題である独島問題については沈黙またはあいまいな態度をとっている。また、日本の民衆は、そのほとんどが、独島がどこにあるのか、独島を日本がこれまでどう認識していたのか、いまだに知らない。

したがって、私たちは、韓国民衆と固く連帯し、それを基礎にして、日本政府が行っている独島に関する民族排外主義煽動に抗し、これを打ち破る闘いを組織する。同時に、歴史を学び、正しい歴史認識を確立するよう努力する。そして、民衆全体が正しい歴史認識をつかみ、韓国をはじめとするアジア民衆と国境を越えて連帯し、戦争とグローバリゼーション策動を打ち破る反帝国主義運動が前進できるようにさらに力を注いでいく。

私たちは以下の事項を日本政府・文部科学省に要求する。

一、独島は日本の領土ではなく、韓国/朝鮮民主主義人民共和国の領土であることを日本政府は認めろ。 

一、日本政府・文部科学省は、中学校新学習指導要領解説書に記載した独島に関する記載をただちに撤回しろ。

一、日本政府・文部科学省は、独島および北方諸島、釣魚台(尖閣列島)を日本の領土とする記述をただちに削除しろ。

一、日帝のアジア侵略戦争と植民地支配によって殺された、または被害を受けた日本軍元「慰安婦」ハルモニをはじめとするアジア民衆に対する謝罪と補償を日本政府はただちに行え。

日本の労働者民衆のみなさん。日帝の民族排外主義煽動を粉砕しよう。歴史歪曲教科書に反対しよう。日本の軍事大国化を許すな。米軍と自衛隊の一体化を粉砕しよう。米軍再編を粉砕しよう。日韓・日朝労働者民衆は連帯しよう。

       2009年12月28日 アジア共同行動日本連絡会議

 

【声明】在特会による朝鮮学校襲撃を許さない!(アジア共同行動・京都) 2009.12.12

(1)

12月4日(金)午後、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)が「朝鮮学校によって不法占拠されてきた公園を奪還する」と称して、京都朝鮮第一初級学校に隣接する勧進橋児童公園を占拠しました。そして、朝鮮学校生徒と地域住民がともに使ってきたサッカーのゴールポストを倒し、朝礼台を投げ捨て、配線を切断してスピーカーを取り外すという暴挙を行いました。さらに彼らは、朝鮮学校正門におしかけ、大音量のマイクで朝鮮学校とその保護者・生徒たち、そして在日朝鮮人を口をきわめて罵倒し、「門を開けろ」と叫んで校内に押し入ろうとまでしました。この日は、京都の三つの朝鮮初級学校と滋賀の初級学校の高学年の生徒たちが校内で交流会を行っており、低学年の生徒たちは授業を受けていました。1時間にわたって暴力団そのものの口調で、聞くに耐えない差別暴言を浴びせかけられた生徒たちの恐怖と心の傷、保護者や先生方の子供たちを守ってやれなかったという悔しさと怒りは想像に余りあるものです。私たちは、このような在特会による朝鮮学校への襲撃を満身の怒りをこめて弾劾します。

                    (2)

在特会はこの間、意図的に在日朝鮮人が多く住む地域で在日朝鮮人を敵視する集会やデモを行い、12月20日にはウトロでのデモまで強行しようとしています。それは、本質的に在日朝鮮人への襲撃という性格を持つものです。さらに彼らは、日本軍性奴隷とされたアジア各国・地域の女性たちへの日本政府の謝罪と賠償を要求するさまざまな取り組み、地方議会での決議に対して執拗に攻撃をくり返してきました。これらの動きを通して、彼らは在日朝鮮人および移民・滞日外国人に対する差別と排外主義を煽りたて、日本社会を排外主義で染め上げ、大久保の自衛隊基地の前で「(ウトロの住民を)銃撃してください」と叫んだように、第二の朝鮮人大虐殺をすらつくりだそうとしてきました。そして、彼らはついに朝鮮学校、在日朝鮮人への直接的な暴力的襲撃にまで踏みだしたのです。

私たちは、このような排外主義集団・在特会を絶対に許さないことを彼らに突きつけ、大衆運動の力で在日朝鮮人への襲撃を許さないたたかいに、日本人の主体的責任において取り組んでいかねばならないと決意しています。関西においては、この間の在特会や「主権回復を目指す会」などの排外主義集団とたたかってきたさまざまな労働組合、市民団体・個人の結集によって、「反排外主義行動ネットワーク・関西」が結成されました。私たちは、このネットワークを発展させ、在特会とのたたかいをさらに大きく広げていきたいと思います。

                    (3)

同時に今回の事態は、このような在特会を生みだし、彼らの在日朝鮮人への排外主義的襲撃を許容してきた日本社会の変革を私たち日本人にあらためて迫る事態でした。歴代の日本政府、とりわけ安倍政権以降の政権は、かつての日本のアジア植民地支配と侵略戦争を歪曲・正当化し、朝鮮民主主義人民共和国への排外主義的反発を煽りたて、日本の戦争国家化を推進してきました。このもとで、日本社会において在日朝鮮人への差別と蔑視、在日朝鮮人に対しては何をしてもかまわないとする排外主義的土壌が強まってきました。在特会は、このような日本の支配階級の別働隊としての役割をはたしているのであり、日本社会の排外主義的土壌のなかから成長してきたものです。そしていま、世界的な金融危機・同時不況のもとで、失業と不安定雇用、貧困を強いられている青年層の一部が、そのやり場のない不安と憤りを在日朝鮮人に向け、在特会のような排外主義運動に引き付けられていくという危険な徴候も生みだされてきています。

在特会による在日朝鮮人への襲撃を許さないたたかいは、このような日本社会の変革をめざす努力としっかりと結びつけていく必要があります。在日朝鮮人の民族的諸権利と生活を擁護するための連帯と支援に取り組み、朝鮮民主主義人民共和国への制裁の全面的な解除、かつての植民地支配と侵略戦争の謝罪にもとづく日朝国交正常化に向けてたたかい、日本の戦争国家化と対決するたたかいに日本の広範な労働者・市民、とりわけ失業と不安定雇用、貧困を強いられている青年たちを結集させるために全力をあげていかねばならないと思います。

排外主義に対抗しようとする私たちの旗印は国際主義です。民族と国境を越えて、在日朝鮮人の仲間たちそしてアジアの仲間たちに連帯し、ともにたたかうことを通してこそ、在特会のような排外主義集団を孤立させ、排外主義が蔓延する日本社会を変革していくことができます。在日朝鮮人およびすべての移民・滞日外国人がその民族的諸権利と尊厳を尊重され、ともに生きることができる共生社会へと、日本社会をぜひとも変革していこうではありませんか。

私たちアジア共同行動・京都は、この5年間にわたって在日朝鮮人の仲間たち、そして日本人の仲間たちとともに、「東アジアの平和と朝鮮半島の自主的平和統一をめざす京都ヒューマンネット」(にっこりネット)を結成し、在日朝鮮人と日本人の共同のたたかいを進めてきました。このようなたたかいに、さらに多くの日本人の仲間のご参加を呼びかけていきたいと思います。

                     (4)

最後に、朝鮮学校を支える会・京滋の呼びかけに応え、恐怖と心の傷を負った朝鮮学校の生徒たちへの激励の手紙などの送付、12月22日の「朝鮮学校への攻撃を許さない!12・22緊急集会」(午後7時開始 会場・京都会館会議場)への総結集を呼びかけます。そして、1月や2月に再度の朝鮮学校への襲撃を行うと予告する在特会と対決し、二度と朝鮮学校への襲撃を許さないたたかいに、ともに全力で取り組んでいきたいと思います。

                                   2009年12月12日

 

 

米国防長官ゲーツ来日弾劾米大使館前抗議行動 2009.10.20

 

BAYANニュースリリース 2009.10.10

 

韓国・フィリピン・台湾・インドネシア・米国・日本の6カ国・地域からの参加でAWC第三回総会が開かれる 2009.9.26-27(諸決議など詳細は次号以降)

(AWC第三回総会・初日)

   今後の闘争予定

 

 

awcjapan21@yahoo.co.jp

当サイトに掲載された文章・写真等の無断転載を禁じます。
Copyright © 2005-2013, AWC-JAPAN, All Rights Reserved.